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Romance夢紀行

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LOVER MINE あらすじ BDB#8(中編)

第21章 狩猟小屋につくと、ゼックスはいませんでした。リヴは、イアン達の店で3,4時間時間をつぶしてやるから、好きにしたらいい。ただし絶対に戦闘はするな。問題が山積みになる。ゼックスのことは心配しなくてもいい、誘拐は2度目だ。家族の問題でシンパスの植民地に恋人のマーダーと行き、俺がなんとか二人を救い出したんだが、彼女の家族に最後のところで彼女をさらわれ、人間に売り払われてしまった。彼女は今回同様、自分で脱出したが、以前より厳しい人間になってしまった。彼女を助けたいなら、彼女の邪魔だけはするなと助言します。リヴとジョンはハグし、ジョンは非実体化します。

まずエクストリーム公園に行きますが、警察が現れたあとということで、人の気配はありませんでした。みられている気配を感じて、非実体化してゼックスの地下室の近くに移動します。もらった鍵で中に入ると、ジョンは血流が凍り付くかと思いました。ゼックスが裸でベッドの上に丸まっていました。全身はあざだらけで、体重が減り骨が突き出ていて、肌の色が灰色でした。このままでは死んでしまう。ジェーン医師に診てもらわなくては。ジョンは上着を脱ぐと、腕をゼックスに差し出しました。生存本能は心を凌駕することをジョンは知っていました。

第22章 ゼックスは死の瀬戸際にいました。差し出された血を飲んで生き延びるか、血を拒絶して1時間後にジョンに見守られて死んでいるか。どうしよう。乾いた唇をなめ、飲むことを決断します。ゼックスはジョンの手から手を引き抜くと絶望で恐怖を感じるジョンの感情を感じながら、その手でジョンの手首を引き寄せると、ジョンからは歓喜が伝わってきます。ゼックスの牙の力ではジョンの皮膚が破れず、すぐにジョンが手首を切り裂き、飲ませてくれます。満腹になると傷をなめて閉じ、力が満ちてくるのを感じますが、震えが激しくなってきました。ジョンが携帯で何か連絡しているようなので、ハヴァースはやめて、と頼みますが無視して連絡を終わらせると、何かを板に書きつけるとそれをみせて姿を消しました。ゼックスは身動きできる状態でなく、目を閉じるしかありませんでした。ジョンはジェーン医師と戻ってきました。ジェーンはジョンを別の部屋で待機させると、ゼックスの意思を確認しながら診察していきます。最初は診察してもらうことに抵抗していましたが、心音と血圧のチェック、全身の状態チェックをしたあと、ジェーンはレイプキットを使うかどうか聞いてきます。必要ない、と言いますがジェーンは気が付いていないかもしれないけれど腿に出血があるからと言われ、ゼックスは誘拐された前日にジョンと関係を持ったことを思い出します。ジェーンは素早く検査をすると約束してくれます。

第23章 「イリアフーは生きている」という声が聞こえてきて、グレッグ・ウィンは目覚めました。局の上部は中継に乗り気ですが、執事の態度はけんもほろろで、まったく許可が取れないでいます。ホリーは何だか薄気味悪いから帰りましょう、と言っていますが、有名になりたくないのか、君の協力が必要なんだ、幽霊がなんだとグレッグはなだめます。するとホリーは幽霊じゃないの、わたしイリアフー・ラズボーンとしちゃったの。

第24章 ジェーンが部屋から出てくると、館にゼックスを連れて行くから、外にいるVに声をかけて、ゼックスを車まで運んでほしいと言います。車の座席にゼックスを下そうとすると、そばにいて、お願いとゼックスが手を伸ばして肩にすがりついてきて、ジョンは一瞬固まりますが、彼自身も車に乗り込むと彼女を膝に乗せ、胸に抱きしめます。ゼックスは震え始めましたが、ジョンが抱きしめて温めていると、頭を彼の肩に預けてきて、少し落ち着いてきたようです。神様、夢にもみなかった状況にジョンが大きく息を吸い込むと、絆の匂いがしてきました。伴侶がいる兄弟たちから嗅いだことのある匂いです。もう後戻りできない。

ジョン? ありがとう。ジョンは彼女の頭に顔を寄せると頷き、動作の意図が伝わるようにしました。本当にごめん、今まで言ったこと。やったこと。君はもっといいものに値すると思う。本当にごめんなさい、というとジョンの心臓の上に右手を置きます。

ゼックスが生きて、自分の腕の中にいて、家路についている。これ以上に悪くなる可能性だってあった。天国にいるみたいだ。

第25章 ラッシュは短い時間でゼックスを捕まえるのは無理だと判断し、娼婦を拾って農場へ連れていきます。駐車場に止めると女にピストルを突き付けられ驚きます。彼が麻薬の売人ということを知っていて、車を取ろうとしたか、車から降りなさい、と命令します。脅しにピストルを発射して車を傷つけたためラッシュが激怒し、車のそとに非実体化すると、引きずり出します。農場の中へ連れ込むとすごい匂いと惨状に気絶してしまいます。机に縛り付けて、部屋を確認しにいきますが、新しくレッサーになった男が見当たらず、時間が過ぎてもオメガは現れません。電話が鳴り、若い声で、よお、父上がお前はもう用なしだってよ、これからは俺がお前のボスだ。すぐに殺してやるから覚悟しろといって電話切れます。

ゼックスは妊娠していませんでした。一瞬喜びますが、別の可能性が頭に浮かび不安になります。パニックになると、ジョンが強引に瞳を見つめ合わせ、正気が戻るということを繰り返します。テーブルの上に乗せられ、薬を撃たれそうになると、更にパニックが高まり、ジョンの剣をぬいて私をここから放り出してちょうだいと頼みますが、レイジとメアリ、ZやVが部屋から出ていきましたが、ジョンだけはそばにいて、ゼックスが悲鳴を上げ、血の涙を流す間ずっとついていました。気が付くと取り乱す女性とジョンを上から眺めています。別れてしまったわたしがひとつになるときは来るのかしら。

第26章 グレックはホリーにどういうことなんだと聞くと、シャワーから出てベットにいると見たことがないくらい身体が大きくて筋肉質で黒い服をきた男性が部屋に入ってきたの。いい香りがして、自然に彼のことを受け入れていたわ。彼は素晴らしかった。目が覚めたら彼はいなくて夢かと思ったけど、キスマークがあったし、夢じゃないってわかったの。警察を呼ばなくてもいいかとグレッグが言うと、完全に同意していたんだからと笑い飛ばされます。グレッグは明日、帰るぞと宣言します。そういえばどうして相手がラスボーンだとわかったんだと聞くと、肖像画そのものだったものとホリーは返事します。

第27章 地下の手術室でジョンは心の痛みに悲鳴をあげ、血の涙を流すゼックスの痛みを見守りながら、無力感にさいなまされていました。さきほどまで気付かなかった鮮血の匂いに気が付きます。次第に悲鳴が落ち着き、大丈夫、というので外で待機しているジェーンに声をかけます。ジェーンは補助にエレーナを頼み、ジョンは外に出されます。しばらくすると、Vに手伝ってほしいとジェーンが声をかけ、彼が手術着に急いで着替えてきて、手術室に入っていきます。どんな治療が行われているんだ。ジョンは不安で通路を行ったり来たりしています。ジェーンからようやく声がかかり飛んでいくと、彼女は今麻酔がきいていて、6時間ほど安静にする必要あるということと、治療前に彼女に血を飲ませくれていてよかった、また彼女に血が必要になった時には与えてもらえるかと聞かれて、いつでもとジョンは思います。ゼックスは手術室から隣の部屋に移されていました。手術室にはたくさんの血のついたガーゼなどがあり、Vが片づけをしていました。どんな手術だったんだ、と聞くと彼女に聞くんだと言われます。
 
ゼックスが目覚めるとそこがどこかはよくわかりまでしたが、控えめなノックがあり、ジョンが入ってきました。ベットのそばの椅子に座ってもらい、ラッシュが最後に目撃されたのはどこ? と個人的ではない質問をすると、涙が出てきてしまいました。ジョンがあわててティッシュを取ってくれますが、ゼックスはジョンがそばにいてくれると自分が安全だと感じられることに気付きます。そばに永遠にいてほしい。悲鳴を上げたかと思えば涙。女の子らしさなんて大嫌いなのに。このことだけでもラッシュを殺してやりたい、と口にすると同情的だったジョンの眼差しが一瞬にして殺戮者に変化していました。

手術室でなんで一緒にいてくれたの?とゼックスは自然に尋ねていました。自我が崩壊していったあのとき、自分を繋ぎとめてくれていたのは間違いなくジョンでした。彼は一番彼女が弱っていて、悪いとき、正気じゃないときに、顔を背けないでいてくれ、見捨てないでそばにいてくれました。あの崩壊の段階で、二人は溶けあってしまった気がします。感情ではなく、魂が。

ジョン、過去に何があったの。無理に応えなくてもいいけれど、私がおかしくなったときに逃げ出さなかったのは、同じようなことを経験したからじゃないのとゼックスが聞くと、ジョンは手術室でどんな治療をしたんだ。それに最初に君がおかしかったのは何故だと質問します。

ラッシュはレッサーたちやオメガから身を隠すために、ゼックスを亜空間に隠していたように、自分自身を亜空間のなかに隠すことはできないかと思いつきます。ただし結界を張るのに力が足りません。人間の女性を農家から連れ出し、キャビンのバスルームで、彼女を殴り倒し、両腕に6か所切り目をいれて血をすべて流させ、心臓を取り出し、自分の心臓の一部を与えて、動き出すのを待ちます。彼は父のような神になった気分でした。ただ彼は弱ってしまい、相手がゼックスだったらこんなことはなかったのにと思います。

第28章 ゼックスが弱っているときに、こんな質問をするべきでなかったかとジョンが思っていると、ゼックスは昨日あの部屋でお前をみたと言います。ジョンが頬に手をやると、触ったよと言います。驚くジョンに、どういう仕組みかはわからないがラッシュが亜空間に閉じ込めていたと説明します。レッサーを殺したことで、ゼックスを危険な立場に追いやってしまったと気が付いたジョンはなんてことをしてしまったんだと気づきますが、お前のおかげで結界が緩んで脱出できたんだとゼックスが言います。脱出の際に強く身体を打ち付けてしまったので、そのせいで手術をしたと目をみずに説明すると、ジョンは手元の紙に「本当に?」と書きつけます。

逃げ出さなければ、じきに死んでいただろう。生来が戦うタチだから、自分が状況をコントロールできないのが我慢できないし、もともと別の理由で医療器具に我慢できないだけで、手術室でパニックになったのはラッシュのせいじゃない。この3週間のお礼にラッシュを始末できなければ、その方が私には耐えられない。

絆を結んだ男として、恋人が危険に足を踏み込むのをとめないでいられるのか自信がないとジョンが思っていることに、ゼックスは気が付いているだろうか。それにゼックスがラッシュに近づくと思っただけで、また彼女を奪われるかもしれないという恐怖がジョンに生まれます。二度目はない。

今度はお前の番だよとジョンに説明を求めると、部屋にノックがあります。少し待って、といいお前の話のほうが私にとって重要。外のやつには一日だって待たせておけばいいと言いますが、ジョンは伝えたいことが多すぎて考えがまとまりません。見せたほうが早いと思い、体調が許せば連れてきたい場所があると言うと、ゼックスはわかったと言います。思わず手話を使ってしまい、また筆談しようとするとゼックスは手話を覚えると言います。またノックがあり、いったい何をしているんだ!とドアの外からリヴの声がしてきました。ジョンが席をはずそうとすると、ゼックスはジョンにすぐ戻ってくる? 疲れていないから手話を教えてほしいと頼まれ、うなずくと、リヴと拳で軽く挨拶してから部屋をでました。

ブレイとクインは身を養うためライラに来てもらいます。まずブレイが椅子に座り、ひざまずいて腕を差し出したライラから血をもらい、次はクインがベッドでもらいます。ありがとうと言われてうつむきながら部屋を出ようとするライラの様子がおかしいので、どうしたんだとクインが問いかけます。ここの部屋でのことは誰にも話したりしないから、というと個々の皆様にはよくしていただいていますが、皆様わたしから血しかお求めになりません、求めていただくのになにか足りないものがありますでしょうか。戦士の君にご奉仕する悦びを教えられてきた身にはむなしさを感じるので、身を引こうかと考えておりますと言います。驚いたクインとブレイはなんとか君を助けたい、どうして欲しいか聞くと、ライラは真っ赤になり口に出せない様子で、クインが口にしなくてもいい、わかった、相手は誰がいいんだと聞くと、あなた様です、とクインを見つめます。ブレイは二人きりにしてあげようと慌ててローブ姿で部屋をでてしまいます。扉を閉めるときに、ゆっくりすすめよう、とクインが囁いているのが聞こえてきました。こんなことはもう続けられない。腹の底に怒りが溜まり、癌細胞のように中から喰いつくされていくようです。

第29章 リヴは杖をつかってもどかし気にベッドのゼックスに近づいてくると、固く彼女を抱きしめ、彼女も抱きしめ返します。リヴからは懐かしく、良い香りがしました。シンパス同士の精神的な交流もして、お前が考えていそうなことはわかるが、みんなお前の味方だから。一緒に乗り切ればいいんだ、とリヴは言ってくれます。ジョンに声をかけてくるといってリヴが出ていくと、知らないうちに眠っていたようです。目覚めると疲れた顔のジョンが枕カバーに顔を埋めて床で眠っていました。そばにいる彼の存在が彼女を安らがせてくれる力は驚くほどでした。彼女がジョン、と声をかけると即座にその場に立ち上がり戦闘態勢になりましたが、彼女を確認すると表情を和らげます。ゼックスは熱いシャワーが浴びたいといって立ち上がろうとしますが、驚くほど弱っていました。ジョンに一緒にシャワーに来てほしいと頼み、巻かれている包帯をとると、ジョンはかいがいしくお湯を出し、タオルと歯ブラシも用意してくれます。ジョンは欲情しないように内心必死ですが、ゼックスはジョンにその気がないと見て取ると、あんなことがあったから自分にもう魅力は感じないのかと思っています。ゼックスが上半身や髪を洗っている間腕を握って支えていましたが、足を洗おうとかがむと倒れそうになったので、ジョンがしゃがんで丁寧に洗ってあげます。ゼックスは、わかっているだろうけど、お前は本当に価値のある男性だよといって優しくジョンにキスしました。ほんの一瞬のことでしたが、ジョンはあとでこの短い一瞬を永遠にでも脳内で繰り返して心の糧にしようと思います。身体を拭くと、ゼックスは来いよ、床になんて眠らなくていいと声をかけます。ジョンは深く考えず、自然とベッドに先に横たわると、腕を広げます。ゼックスが彼に寄り添ってきてくれると、彼女に初めて会った時に魂が抜けてしまった彼の空っぽな心に灯りをともして温めてくれているようで、この数か月間で初めて深く息を吸いました。目を閉じると思いがけず深い眠りにつきました。

第30章 ダリウスは娘付きのメイドからは有益な話を聞き取ることができず、次に従者を呼んでもらいます。何か思い当たる節はないかと聞くと、ぴくっと左眉が痙攣しました。ここでの話は秘密にしてほしいということであれば、王に聞かれても話さない、とダリウスが言って無言で待っていると二度ほど咳払いして話しはじめようとしたところで、執事が現れ、主人が休みましたのでお見送りいたしますと邪魔しにきました。雨が降り出したから、濡れにくい道を案内すると申し出てもらったので、これで失礼するとダリウスが言うと、従者がこちらですと率先して部屋を出ます。庭から娘の部屋の窓を見上げる場所まで来ると、従者はお嬢様がお叱りを受けていたことは間違いありません。ただご両親がお気づきになっていなかった男性の配偶者はいなかったかと思うといい、失踪の1週間ほど前に、清掃をしていて木の折れるような音が聞こえ、窓の外を見ると、室内を外部の視線から遮っている大木の枝が一か所だけなくなっていました。これは屋敷の者の仕事ではありません。折れたにしては、切り口がきれいすぎます。執事には言ったのですが、口止めされました。どうぞお嬢様を連れ戻してください。執事は人間とトラブルがあったと知られたら家名の名折れになると考え、黙っているようです。ダリウスは、王には人間への干渉を禁じられているが、向こうから踏み込んできて未婚の娘を攫ったなら見過ごすことはできないと思います。

第31章 グレッグは隣に寝ているホリーを起こして、さあ帰る支度をしようと言って荷造りをすませたところに、ノックがあります。執事がいて、ご主人様が特別に撮影のご許可を出されましたと伝えてきます。いえ、もう帰るところですのでといいかけると、ホリーが素敵だわ! よろしくお願いしますと言ってしまいます。帰りたいんじゃなかったか、怖いんだろうとグレッグが言いますが、よく考えてみるとあれは夢だったのよ。

第32章 ジョンはゼックスの匂いのなかで目覚め、これは夢かとパニックになりますが、腕のなかをみるとゼックスがいました。身じろぎすると「ジョン?」と言われたので、頭を撫で彼女を身体で包み込むとまた彼女は眠ってしまいます。

ゼックスに食べるものを用意しようとキッチンに向かいますが、通りがった訓練所には訓練生がいないため静まり返っていて、恥ずかしいことだと感じます。事務所をのぞくとトールが机につっぷして眠っていました。彼は猛烈に身体を鍛え、食べるようになっていて、疲労感が漂っていますが、身体つきは骨と皮と言う感じではなくなってきました。ゼックスの横で目覚めてみて、トールは二度とウェルシーの横で目覚められず、髪も撫でられず、食事を運ぶこともない、彼女との赤ん坊も失ったんだということを改めて考えました。

キッチンで籠を見つけると沢山のデニッシュやベーグルを詰め込み、ゼックスが甘いものが好きでなかったときのことを考えてターキーサンドイッチを作り、コーヒーをポットに詰めて戻ります。再度事務所にいくと、トールは飛び起きました。ジョン、なにか必要なものがあるのか?と言うので、ジョンは籠からチーズとハムをだして机に置きます。彼女が目覚める前に戻ろうと踵を返すと、トールが彼女を無事に連れ戻せてよかったな。本当によかったよと言ってくれます。肩越しに振り返り、父親に一番近いひとを見つめます。ゼックスの体調が戻ったら昔いた場所に連れて行こうと思うと手話でいうと、じゃあうちの鍵も持っていけと言ってくれます。ゼックスと出会えてよかったな、お前たちお似合いだよとトールが言うと、ジョンは俺たちはカップルっていうわけじゃないと言われて、トールはちらっと顔に笑みを浮かべていました。事務所をでると、ジョンはトールみたいになりたい、と強く思いました。それが正しいことのように思えます。ただゼックスについては、トールが彼らに何を見たにせよ、あと1晩か2晩は体調が戻らず一緒にいてくれ、血ももらってくれるかもしれないが、そのあとは逃げ出すだろうし、自分も彼女を止められないだろうと思います。

パインがプールを通りかかると、歌声が聞こえ、裸でライラが浮かれていました。パインを見ると、恥ずかしそうな顔をしますが、素敵な一日ねと言います。どんな素敵なことがあったのと聞くと、私・・・と言葉が続かないので、わかった、口にしなくてもわかったわ。この世界で役立たずなのは私と無名の者だけってわけねとパインは内心思います。彼はキスしてくれたの、私の中で炎みたいだったと恥ずかしそうに、嬉しそうにいうライラに、仕事を果たせて嬉しいということ、それとも彼が特別なの?と聞くと、あんな情熱は特別な二人にしか生まれないかも。ひょっとして運命? パインは私にはわからないと応えます。誰かに話したくてはじけそうだったの。あなたにお話しできてよかった、と言われてパインはいつでも話は聞くからと言います。

第33章 ゼックスが目覚めるとジョンと珈琲の香りがしました。彼が用意してくれたターキーサンドイッチやデニッシュをいくつも食べ、もうお腹いっぱいというとジョンが食べ始めたので、まだ食べていなかったのと驚きます。ジョンを見ていたら、突然ラッシュに無理強いされたときのことがフラッシュバックして、あわてて洗面所に駆け込むと、食べたものをすべて戻してしまいます。ジョンが横からタオルを渡してくれて、ジェーンをテキストメールで呼び出すと、すぐに来てくれました。手早く、ゼックスに確認しながら体調を確認してくれ、上の階に戻って、もう一度食べられるかどうか試してみましょうと提案してくれます。ジェーンに体調が戻ったら外出するとジョンが伝えると、戦闘はなし、あと護衛は連れて行かないと、と釘を刺され、ジョンも了解します。

第34章 ラッシュが目覚め、女が彼に気付くと絶叫します。彼女の張り裂けそうな目は彼をみています。ごわついた髪を撫でつけると手に何かついたようなので見ると皮膚でした。鏡をみるとラッシュも絶叫します。触ったところが崩れ、一部骨も見えています。叫び続ける女をつかんで後ろから血を吸い、血がなくなると彼女はその場に崩れ落ちました。電気をつけてみると、彼の状態はホラー映画そのもので、あばらの隙間から心臓をみています。神よ・・・

ブレイは悩みながらデートの支度をしていました。ラッシュが、ジョンが今晩出かけるっていうから、俺たちも行くぞと声をかけにきて、おまえどうしていつもと違うコロンなんだ、デートに行くのかと聞いてきます。お前には関係ない、今日は仕事は休むから、と言っても、クインは引き下がらないので部屋にいれます。相手は誰だ、サクソンだな? あいつはヤリ目男だぞ。ブレイは、ひとこと言ってくれたら、出かけるのをやめる、と言いますがクインは黙り込み、ブレイは近づくと鼻を付き合わせ「言うんだ」と要求します。クインは、ブレイの唇を凝視し、肩は大きく揺れています。なんで単にキスをしてくれないんだとブレイがいうと、ふっとばされ、クインは出かけろよ、気をつけてな。あとサクソンを好きになるなよ、傷つくだけだからと言い捨て、部屋を出て行ってしまいます。ブレイはボロボロでデートに出掛ける気分ではなくなってしまいましたが、サクソンから確認のボイスメールが入り、結局出かけることにします。

第35章 廟のなかの洞窟のひとつでは戦士たちが集めた情報を報告したり、伝言をしたりするのに使っている場所があり、ダリウスが捜査の経過の報告となにか伝言がないか確認するために立ち寄ると、その入り口近くに布の山をみつけ、剣を抜いて近づくとトールでした。ダリウスは、ハームがめったに伴侶の元に帰らないので、おそらくトールは母親と一緒にいるだろうと思っていたのですが、トールは食事すらとっていなかったようです。ここで少し待て、と言って伝言を確認し、出てくると失踪した娘の館に二人で向かいます。

裏口から入ると執事が出てきますが、応接室ではなく、ここで従者の話を聞きたい、頼めるようならなにか軽食をというと喜んで用意してくれます。トールは食べ物を恵んでもらわなくても、自分で何とかしますから、と言いますがドゲンには仕事を与えてやったほうが緊張させすぎずに済む、俺は食事はすませたからお前が食べてくれと指示します。実は従者には特段聞きたいこともなく、トールの荷物を預かってくれるように頼み、屋敷の外に出ます。トールはダリウスの腕をつかみ、自分の面倒はみれます、と訴えますが、お前ならできるだろう、だが弱っているパートナーはいらないし、屋敷の主人に報いてやるなら娘を探してやるのがいいだろうというとトールは引き下がります。時間がたつほどに、ダリウスは娘を無事に帰してやれる可能性が低くなっていくのをひしひしと感じていました。

第36章 ジョンはコードウェルのバスターミナルにゼックスを連れていきます。ジョンのパーカーをだぶっと着たゼックスは女の子のようで、いつもの、そこをどかなきゃぶっ飛ばす系のハードな服装もいいけど、ガーリーな彼女もいいとこっそり思っています。護衛についてきたクインからは不機嫌さがにじみ出ていて、ジョンはなんでだと思いますが、目顔で挨拶しただけで消えためかしこんだブレイと関係ある気がしていました。でも誰とのデートだ?

ジョンが捨てられていた女子トイレ、そして彼が育った孤児院へと移動します。人間に育てられたの? 思ったより共通点があるみたいだとゼックスがつぶやき、お前は自分がその時に思っていた以上に勇気があったろうな、とコメントします。ジョンは同意はできませんでしたが、ゼックスが彼に抱いている信頼は感じ取りました。手を取り合って内部に入り、ジョンは肩にかけていたリュックを事務室のノブにかけます。中身はトールメントからもらったラッシュの屋敷から回収したお金でした。

家族に捨てられて、愛情ではなく義務感で育てられたのは彼も彼女と同じだったとわかり、この外出で彼の心に深い傷を残していることも感じ取れ、切り上げたほうがよいのではないかとゼックスは思いますが、一方でそんな彼のことをもっと知りたいとも感じています。悲しみのこだまは彼の心を殺してしまう。ジョンに近づき、ゼックスは彼を抱きしめ、彼女の力が伝わるようにと願います。絶対に、ずっと、ジョンを離したくない。

第37章 グレッグは撮影の作業を指揮していましたが、頭痛がしてきます。ホリーには携帯をもたせ、彼女のいる部屋にはカメラを置き、録画させておき、部屋を離れますが、なぜか屋敷の外へでて散歩をして怖くなって屋敷の中にかけもどり、階段を駆け上がります。3階にいるところを執事に見つかり、ここは立ち入り禁止です、お戻りくださいと言われると素直に降りますが、頭の中では執事の目を盗むことを考えていました。

第38章 ジョンは次に一人暮らしをしていた荒れたアパートにゼックスを連れてきます。そこはかわらないままでした。ゼックスは生まれた時に母を亡くし、すごくよい家庭に引き取られたようですが、自分が何であるかは全く知識がなく、そこにはいてはいけないという気持ちがあって若いうちにその家庭からは立ち去ったそうです。その後偶然リヴに会うことが出来て、自分が何なのかということを教えてもらったそうです。

ラッシュは身体の皮膚の半分ぐらいが崩れ落ちた状態でメルセデスを農場に走らせていました。ゼックスを求める気持ちよりも強いのは父の新しいおもちゃと父への復讐です。自分の気配を殺す魔法をかけるだけで全力を使っているため、非実体化ができず、ある程度距離のある場所にメルセデスをとめ、そこから歩いて忍び寄ります。建物のなかではにぎやかにパーティをしているようでした。

第39章 あれはベラの昔の家だね、とゼックスが言います。ジョンが手づくりのブレスレットをみせ、ゼックスはテラーという名前を読み取り、ジョンは自分の頭に浮かんだんだと手ぶりで説明します。彼をトールメントに引き合わせたのはベラだったようだが、他に誰かの存在が感じられます。レイジの伴侶のメアリー? でも彼女についての事情はジョンのなかで壁が巡らされています。最後に立派な屋敷のまえに移動してきました。ジョンが鍵を開けてはいると、壁にトールメントとウェルシェランの家と古語で描かれていて、彼が引き取られた家なのだとわかります。特にジョンはその女性に感じている寂しさと悼みのまじりあったような感情を強く発しています。ゼックスはジョンについて台所にいくと、彼の感情から過去にあったことを読み取り、ウェルシーにメキシコ料理を出されるかと思ってびくびくしたけど、ショウガ粥とプリンを出してくれて、初めて気分が悪くならずに満腹になれたこと、生まれて初めて思いやってもらい深い感謝の気持ちを感じたことなどがわかります。ただゼックスはジョンの心の中に感情を強く抑制しようとする力を感じ取っていて、何かの事情でたがが外れたら大変なことになるだろうし、彼が狂気に陥ったとしても彼女だけは驚かないと思っています。

ゼックスはこの数時間で、自分の期待以上にジョンのことを教えてもらったと感じています。そして二人の間の相互理解と優しい絆が出来上がったことも。ラッシュに復讐せずにはいられないし、生きて帰れるという幻想は抱いていないけれど、今日一日くらいは休暇をとって、彼が与えてくれたように、彼女も与えたいと思います。クインに頼んで先に帰ってもらい、ジョンの寝室に行き、彼を抱きしめ、優しくキスをします。ジョンは最初は勘違いじゃないかと思い自分の欲望を抑え込んでいますが、キスをするうちにゼックスの上に乗り、二人は絡み合います。するとゼックスの頭にラッシュに強いられたあれこれが浮かんできてしまい、必死にジョンの香りと、身体にしがみつくことで現在にもしがみつこうとしますが、彼が入ってこようとした瞬間に、身体を引き離し、ベッドから飛び降りてしまいました。ジョンは恐怖の表情を浮かべています。

パニックになったゼックスは、思考がまとまりませんが、とにかくお前が悪いんじゃない、と言い歩き回りますが、ジョンは信じていません。やっとのことで、口からラッシュは不能じゃなかったんだ、と言ってジョンを振り向くと、部屋の温度が下がり、彼の発する空気が変化し、牙がむき出され、部屋の中のものがすべて振動を始めました。ジョンが沸き上がってくるエネルギーの中心にいました。ジョンの口が大きく開き頭を振りかぶると、鬨の声をあげ、彼女の周りに大音響が響き渡り、彼が声を取り戻したのかと一瞬思ったほどでした。部屋のガラスもなにもかもがすべて吹っ飛び、割れたガラスに光が当たる様子は涙のようでした。

第40章 ブレイはサクソンとシガーハウスに来ていました。注目されるのに慣れていないブレイは、じっと見つめるサクソンを見返せず、窓の外を眺めたり、足を組み替えたりしています。最初にサルの店の台所で前菜、パスタ、ティラミスを白ワイン、赤ワインと共に美味しく食べて、最近読んだ本や好きな音楽の話題などを楽しみ、まさにデートという感じです。酔っ払いがサクソンに倒れ込んできて、二人に絡んできたので、店を出ることにします。

少し歩いて横道にそれると、実はデートをしたのは初めてだったんだ。今日はありがとう、と手を差し出したブレイにサクソンは光栄だよ。普通デートはキスで締めるものだろう、おいで、というとブレイは身体を寄せます。

クインはジョンたちに先に帰ってくれと言われて、どうしても我慢できずブレイの様子を見に来ていました。ゴミ箱の影から彼らがキスをしているのが見えて、割って入りたいという衝動を必死に抑え、館に帰ります。サクソンをここに連れてくることができないから、関係を持つならあいつの家にいくのか、などと考えながら台所で食料を探していると、ブレイが帰ってきました。早いお帰りだな、と声をかけても無視されましたが、ジョンとゼックスはどうしたと聞いてきたので、席を外してほしいと頼まれたから帰ってきたと言います。クインはむしゃくしゃして部屋に戻ると、ライラが来てくれたらいいのにと思います。彼女は専門の訓練を受けていて、自分と関係をもつことをエロチックな体操と思っているから、彼女が傷ついたりする心配がなくていい。だけどブレイに関しては・・・お互い惹かれているようだし、サクソンは欲しい相手を我慢するようなタイプじゃない。ただしブレイの心にかすり傷でも付けたらあいつ、ただじゃおかないぞ。

第41章 農場の窓からラッシュが覗きこむと室内ではパーティが行われていました。オメガが現れ、ラッシュのほうに視線を向けましたが、必死で魔法の影に隠れます。その後の室内は屠殺場のようで、オメガによって沢山の人間がレッサーにされていきました。窓から後ずさると、俺も同じことをしないとと思い、車に戻ります。

戦いの態勢を整える前に、自分の身体に何が起こっているにせよ、女の血液が必要だ。

ブレイがシャワーを浴びているとライラが現れました。先日過ごした部屋をクインの部屋と勘違いしたようです。クインが一人の女性で我慢できないことをこの娘は知っているんだろうか、でも巫女以上に血筋が尊い相手もいないし、彼女が割り切れるのであれば、よい組み合わせだろうと思い、言葉を飲み込み、隣の部屋だと教えます。隣の部屋で何が起こるのか、想像しないようにしても落ち着かないので、訓練室に向かうと、ゼックスがいました。

奥の部屋で誰かがトレッドミルを必死に走っている音がして、ジョンのようです。なんでと聞くと、ゼックスは壁に頭をあて、落ち込んだ様子で、ラッシュを追いかけようとするのを必死でとめて、ここに来るように説得するのがせいぜいだったと言われます。私の顔ををみると余計エスカレートするだろうから、ここで待ってる。

ブレイが奥の部屋に入ると、ジョンは汗まみれ、靴下はしみた血で真っ赤になっていて、声をかけても、手を目の前でひらひらさせても気が付いた様子がないので、機械の電源を引っこ抜き、ジョンは運動具にしがみつきます。ブレイが、話してみろよ、母親の命にかけて、ここだけの話だというと、顔をあげたジョンの頬には汗ではなく涙で光っていました。あいつはゼックスを傷つけたんだ・・・そうだな、とブレイは相槌をうちますが、首を振るジョンの様子で気が付きました。なんてことだ! それにジョンの過去を考えると限界を超えてる。あいつを殺してやる。あいつをのさばらせたままでは生きていけない、というジョンに、なんでも手伝うからとブレイは約束します。


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